円安・円高は投資にどう影響する?オルカン積立と為替リスクの考え方

こんにちは、こはるです。
「円安のニュースを見ると、なぜか自分の積立の評価額が増えている」。逆に「円高になったら減っていた」。この理由が分からないままだと、値動きを見るのがこわくなってしまいます。
じつは、オルカン(全世界株式)やS&P500のような外国の資産に投資する投資信託を持っていると、成績は「株価」だけでは決まりません。もうひとつ、為替という要素が入ってきます。今日はそこをやさしく解きほぐします。
為替が関係する理由(かんたんに)
オルカンやS&P500に連動する投資信託の中身は、アメリカなど外国の株です。外国の株はドルなどの外貨で取引されているので、それを円に換算して私たちの口座に表示されます。
つまり、私たちが見ている金額は掛け算になっています。
円での評価額 = 外国の株価 × 為替レート
だから、株価が変わっていなくても為替が動くだけで評価額は変わるのです。
- 円安(1ドル=150円→170円):同じ資産の円換算額は増える
- 円高(1ドル=150円→130円):同じ資産の円換算額は減る
「円が安くなると、外国のものを持っている人は得をする」と覚えると分かりやすいです。海外旅行が高くなるのと同じ理屈の、裏側にいるわけです。
為替だけで、いくら変わる?
具体的な数字で見てみましょう。アメリカの株を1万ドル分持っていると仮定して、株価は一切動かないまま為替だけが動いた場合です。
| 為替レート | 円での評価額 | 1ドル150円のときとの差 |
|---|---|---|
| 1ドル=110円 | 110万円 | -40万円 |
| 1ドル=130円 | 130万円 | -20万円 |
| 1ドル=150円 | 150万円 | ± 0円 |
| 1ドル=170円 | 170万円 | +20万円 |
| 1ドル=190円 | 190万円 | +40万円 |
💰 金額の目安:株価が1円も動かなくても、為替だけで±20〜40万円動く(1万ドル=約150万円の資産の場合)。割合にすると±13〜27%です。
これはけっこう大きな幅です。「株が下がったから減った」と思っていたものが、実は円高になっただけということもあるわけです。
実際に積立していたら、いくらになる?(モデルケース)
前提:オルカンのような全世界株式の投資信託に毎月3万円を15年間積立(元本540万円)。外貨建ての中身が年4%で増えたと仮定し、15年後の時点で為替が3パターンに分かれた場合を単純化して比べます(実際には積立中も為替は動き続けるので、下の数字はイメージをつかむためのものです)。
| 15年後の為替 | 円での評価額の目安 | 元本540万円との差 |
|---|---|---|
| 20%の円高になっていた | 約590万円 | +約50万円 |
| 変わっていない | 約738万円 | +約198万円 |
| 20%の円安になっていた | 約886万円 | +約346万円 |
💰 金額の目安:同じ15年・同じ積立額・同じ株価の成長でも、為替だけで約300万円の幅が出る計算になります。
ここで大事なのは、どのパターンでも元本は下回っていないという点です(株価が年4%で増えたと仮定した場合)。為替は成績を大きく左右しますが、長い時間をかけて積み立てる場合は、株価の成長が土台になるという関係です。
もちろん、株価も下がる年があります。「円高+株安」が同時に来ると、評価額はかなり厳しく見えます。そのときに売らずにいられるかが、いちばんの勝負どころです。
積立なら、為替も自然に分散される
ここが積立のいいところです。毎月買っていると、買う時の為替もバラバラになります。
- 円安のときは高いレートで少しだけ買うことになる
- 円高のときは安いレートでたくさん買えることになる
これを何年も続けると、購入時の為替レートは平均的なところに落ち着いていきます。一度にまとめて買うと「その日のレート」が一生ついてきますが、積立ならそのリスクを薄められます。
つまり、為替が読めないからこそ、積立が向いているということです。→ドルコスト平均法とは?
「為替ヘッジあり」を選ぶべき?
投資信託には「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」という種類があります。
| 為替ヘッジなし | 為替ヘッジあり | |
|---|---|---|
| 為替の影響 | そのまま受ける | 抑えられる |
| 円安のとき | 有利になりやすい | 恩恵は受けにくい |
| 円高のとき | 不利になりやすい | 影響を抑えられる |
| コスト | かからない | ヘッジのコストがかかる |
ヘッジは無料ではありません。日本と外国の金利差などに応じたコストがかかり、それは長く持つほど積み上がります。
つみたて投資枠で人気のあるインデックス型の投資信託は「ヘッジなし」が多いのが実情ですが、これは「ヘッジなしが正解」という意味ではありません。どちらにも良い面と注意点があるので、ご自身が何を避けたいのかで選んでください。
- 長期でコツコツ、途中の上下は気にしないなら、ヘッジなしが選ばれやすい
- 数年後に使う予定があって、円高で減るのが困るなら、ヘッジありも選択肢
なお、これらは代表的な考え方の紹介で、特定の商品を推奨するものではありません。
円で暮らしているからこそ考えたいこと
「日本に住んでいるのに、外国の資産を持って大丈夫?」という不安もよく聞きます。ここは逆の見方もできます。
- 私たちは収入も支出もほぼ円。つまりすでに円に集中している状態です
- 円の価値が下がると、輸入品や燃料の値段が上がって暮らしのコストが上がります
- そのとき外貨建ての資産を少し持っていると、値上がりが家計の支えになることがあります
これは「円が危ないから外国に逃がそう」という話ではなく、置き場所を分けておくという考え方です。→分散投資とは?
一方で、近いうちに使うお金は円の預金で持つのが基本です。生活防衛資金を為替の影響を受ける場所に置くと、必要なときに減っていて困ります。
わが家の考え方
わが家は為替を当てにいくのはやめました。円安になるか円高になるかを予想できたら、そもそも積立なんてしなくていいはずですから。
代わりに決めたのは2つだけです。①近いうちに使うお金は円の預金で持つ ②長く置ける分だけを外国の資産に積み立てる。これだけで、円安・円高のニュースに気持ちを揺さぶられることがずいぶん減りました。
評価額が増えた月に「為替のおかげかな」と思えるようになったら、もう半分は勝ちだと思っています。理由が分かっているものは、こわくないのです。
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よくある質問
Q. 円高になったら、積立をやめたほうがいいですか? A. 円高は「外国の資産を安く買える」局面でもあります。やめてしまうと、その安い時期に買えません。積立の目的が長期なら、そのまま続けるほうが理屈に合っています。
Q. 円安のうちに売って利益を確定したほうが得ですか? A. 売ったあとの為替がどう動くかは誰にも分かりません。ただ、使う予定が決まっているお金(数年内の教育費など)については、都合のよいタイミングで現金にしておくのは合理的な考え方です。目的で分けるのがコツです。
Q. オルカンとS&P500では、為替の影響は違いますか? A. S&P500はほぼ米ドル、オルカンはドルを中心に複数の通貨が混ざっています。オルカンのほうが通貨も少し分散されていることになりますが、いずれも円高になれば円換算額は下がる点は同じです。
まとめ
外国の資産に投資する投資信託は「株価 × 為替」で評価額が決まります。1万ドル(約150万円)の資産なら、為替だけで±20〜40万円(±13〜27%)動く計算です。毎月3万円を15年積み立てたモデルケースでは、為替の前提の違いだけで約590万〜886万円と、約300万円の幅が出ました(いずれも試算で保証はありません)。
為替は読めません。だからこそ積立で買う時期を分散する、近いうちに使うお金は円の預金で持つ、長く置ける分だけ外国の資産に回す。この3つを決めておけば、円安・円高のニュースに振り回されずに続けられます。
